翌朝、目が覚めると隣に真行寺の姿はなかった。
時計を見ると朝の6時半。寮の使われていない一室での逢引はもう数え切れないほどなのに、こんなことは初めてだった。
いつも先に目覚めるのは俺で、あいつはいくら起こしても起きなくて。だから俺は、いつも後ろ髪を引かれながらひとりでこの部屋をあとにするのだ。
ひとり残されてみて初めてわかる。なんとも言えないこの虚しさを、真行寺もいつも抱えていたのだろうか。
…ああそういえば。日曜なのに朝練があるとぼやいてたっけ。
『朝まで一緒にいたいよ、アラタさん』
『練習はサボルなよ』
『わかってるけど! じゃあいつもみたいに置いてきぼりにしないで殴ってでも起こしてくれる?』
『殴ったくらいじゃ起きないじゃないか』
『明日は絶対起きます! 起きるから、ね、もう一回…』
夏休みが明けて久しぶりに会った。ふたりへとへとになるほど抱き合って…会わなかったのはたった2週間ほどなのに、でもそうせずにはいられないほど、俺も欲していた。決して口に出すことはできないけれど。
あいつのことだから、熟睡している俺を気遣ったのかもしれない。
――真行寺…。
思い出すだけで身体が熱くなる。胸が苦しくなる。そっと、真行寺がいたはずのスペースへ手を伸ばす。
……?
冷たい…。いったいいつ出て行ったんだ…?
いくら朝練があるとは言え、そんなに早く出て行くなんて…。
『お前なんかいなくたって…』
まさか、あんな言葉を信じた訳じゃないよなあ?
真行寺………
next→